旗次郎(結構オタク)のマイペースなカタリング。コメント・トラックバック大歓迎です☆(基本的にネタバレ状態になっているので御注意下さい)


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過去は現在と未来を進む糧である。~遊戯王DM(再)第134話

やはりここだけは外せない遊戯と海馬のデュエルの決着編がやってまいりました。

昏睡状態の城ノ内は奇跡の復活。
昏睡から目覚めたばかりでもひたすら熱く突き進もうとする城ノ内。それは自分の為にそして友たる遊戯の為に信じる未来があるから。これってライフが0になるまで続ければなんらかの勝機があるはず=あきらめなければなんらかの可能性はある、というテーマを改めて示してますよね。たとえ危険な状態であっても止められても信じる道を進んでこそ自身も納得できるんじゃないかと思います。

デュエルは永続罠・最終突撃命令で最終局面(=ラスト3ターン)に。決着の時を目前にして双方共に自身の未来というものに対する考えを堰を切ったように語り始める。
海馬は過去を自分を苦しめてきたもの=消したいものとしてひたすら否定。過去には憎しみや怒りばかりが存在し自身を苦しめてきた。だからこそそれに打ち勝ってこそ自身が成長した証になる。それが何よりも海馬を縛り付けているものであるわけです。
それを語る海馬の姿と言葉を目の当たりにしたモクバは兄が暗い過去に縛り付けられている事を改めて認識して切なさにさいなまれる。モクバがずっと海馬についていっているのは過去に辛い時間の中で見せた優しさを忘れられないから。モクバが一番安心できるものは、海馬のそういった笑顔。一番安心できるものを求めるのは人として当然の事。人はなんらかの心の支え(拠り所)を求める気持ちがあるし、それなくして生きていけるような人間はまずいないわけだから。
モクバは過去を踏み越え破壊しようとする海馬と比べると正反対のように見えるけれど、優しかった兄を求めている時点でモクバも実は過去に縛り付けられている事には変わりないんですよね。これって海馬とモクバは逆の事をいっている様にみえるけど、実は踏みつけていくか取り戻すかの違いはあるけど二人とも過去というものに縛られて振り回されているという点では同じですよね。
そして海馬はそれを踏みつけていく=存在を否定して、ひたすら未来だけを見据えていると述べているけど、踏みつけようとしているのもやはり過去というものから逃れられない事を示している感じがするんですが、どうでしょうかね?

過去を否定し、憎しみと怒りを前面に押し出した海馬を見た遊戯は少しあざ笑うような表情に。遊戯にとって、過去(=失われた記憶)とは自身を前へと進ませる鍵。すなわち、過去を大事にして未来へと進もうという考え。過去にこだわりすぎているという点では海馬と同じではあるけれど、過去を大事に受け止めてその存在を肯定しようとする姿勢はまさに海馬と逆。そして言い放たれる遊戯の言葉。
「過去の無い奴に未来は訪れはしない。過去が積み重なって今があり、そして未来へ続いていく。どんな過去も無意味なんかじゃない。全ては今の、そして未来の自分へと繋がっているんだ!」
そこに至るまでの過去があったからこそ、これから先をどのようにしたいのかを決めていけると思います。過去に失敗があれば同じ過ちを繰り返すまいと思うし、成功した事があれば改めて道標になっていくし。人の思考パターンは結局なんらかの影響を受けて成り立っている=過去の影響を受けているわけだから。だからこそ過去は否定したりすがったりするものではなく、しっかりと向き合って大事にして糧とするべきなんだと思います
遊戯のこのセリフはそれらの事を見事に言い含めた至高のセリフだと思います。過去・現在・未来をしっかりと繋いで表現する事で的確に言い表せている感じです。このセリフはズバリいって、アニメにおける私的名言の中でも間違いなくトップクラスのセリフです。何度聞いても、そこに含まれた真理を感じてグッとくる、そんな名セリフです☆

それでも過去に対する憎しみを原動力として憎しみの名の元に粉砕しようとして勝利を掴みかける海馬に対して遊戯は更なる言葉を言い放つ。
「憎しみ・怒り、そんなもので勝利の重圧を受け止められるか!」
そう、勝利というのは輝かしい反面、実は多くのものの上に成り立っているもの。倒した相手の敗北・守り続けていく栄光・周囲からの羨望そして更なる高みへの期待と不安。勝利を得るということは同時にこういった重圧を背負うことになる。その重圧に耐えるためには、ただただ自身を暗くしていく憎しみという負の感情ではなく、前向きでしっかりとした気持ちで堂々と向き合わなければ耐え切ることはできないはず。堂々としているからこそ正しく向き合えるはずだから。海馬は憎しみこそがパワーを与えていると言っているけれど終わりなき憎しみの連鎖に振り回されていてはいつかは勝利の重圧に耐え切れなくなっていく、という事だと思います。
そしてその言葉を発した遊戯はその全てと堂々と向き合う意志の力に支えられるようにして見事勝利。正の感情を信じた者の堂々とした勝利、となったんじゃないかと思います。

というわけで、実に大いに盛り上がった遊戯対海馬のデュエルは終了しました。デュエル全編を通して熱いセリフ・名言の応酬だし、デュエル的にも見ごたえは十分でした。
そしてもうひとつ重要なのは、実は原作より長い尺になっているにもかかわらず中だるみせずかつ「遊戯王」らしさを損なわずにその熱さを表現しているアニメスタッフの技量と作品に対する理解が実に見事なんですよ。オシリスとオベリスクが戦うところでも原作では1ターンだったのを多くの罠・魔法を駆使して2ターンにした上でその後は原作通りになるようにもっていっているし、上記の「過去の無い奴に未来は訪れはしない。」のくだりも、原作では「過去が積み重なって~」以下は無いセリフです。それでも、それに続く熱くしっかりとしたセリフをオリジナルで付け加えて遜色の無いものとしている。この回における城ノ内やモクバの描写も過去・現在・未来それぞれの在り方をより深く見せているけれど、これも原作には無かった描写。でも、この描写がある事でより深みが与えられているのは事実。他にも原作には無い描写やセリフがあるけれど、どれも話の腰を折っていないものばかり。まさに見事な作りをしていると思います。
私は常々、「遊戯王」に関してはアニメが原作を超えているといっているのですが、それはこういった作りをしているからなわけです。すなわち、この遊戯対海馬のデュエルは、私がここまで「遊戯王」のアニメにハマっている理由を象徴するような展開で描かれた、まさにベストオブベストなもの、というわけなのです。実際、ビデオに録ってあって何回も見直していますが、何度見ても飽きることなく食い入るように見ている次第です。
そんなわけで、改めて実に素晴らしいデュエルでした☆
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by avt-race | 2006-10-28 21:35 | 遊戯王